トンネルを抜けるとそこはニュージャージー

レポーター:Hartz Mountain社駐在員 櫻本

マンハッタン中央部にあるバスターミナルから西へ、リンカーントンネルを抜けるとすでにそこはニュージャージー州です。わずかにハドソン川を挟んだだけのクルマで15分程度の距離ですが、州が違うと、税制から交通ルールまで独自の行政が敷かれています。“United States”の所以です。
アメリカ駐在といっても、私の職場があり、生活の場のあるニュージャージーの北東部では、所謂ヒスパニックと呼ばれる中米からの移民がルーツの人達、アジア系の定住者、駐在で来ている会社員家族をもっとも多く目にします。
それらの人達は各所で自分たちの文化、生活様式をそのまま持ち込んで本国とそう違わない生活を送っています。場所によっては路地で目にする看板の殆どがスペイン語だったりします。

多種多様な文化、民族、習慣、肌の色、言語、それらが一様に混ざり合っているわけではなく、そのまま独立して成り立っており、皆がみなこの国の言葉を流暢にしゃべるわけでもないけどまぎれもないアメリカ人。
マンハッタンという大都会では、いわゆるコスモポリタンと呼ばれる、それぞれの分野で世界最先端をいく人達がひしめいている一方、同じところでセネガルから来た黒人が、エクアドルのヒスパニックが、チャイナタウンの中国系の人達がそれぞれ自分の価値観、風習の中で暮らしている。まさに渾然一体。全て包み込んで、異人種、異文化、異言語なんでもありなのがこの国です。
我々のような日本から派遣されてやってきた人間はつい自分自身をよそ者として自覚していますが、この国では言ってしまえば皆ヨソモノ。永住だろうが腰掛だろうが、そこでどれだけ腹を括ってドップリつかる覚悟があるかどうかの違いでしょうか。自然にヨソモノを区別する感覚が希薄で“事情をしらないから”とかいった手加減は殆ど期待できません。逆にあまり知らなくても知っている様な顔して通せば何とかなったりもします。 厚かましく、自己主張がちゃんとできる人間が生き延びていける環境でもあります。

私が現在勤務しているハーツマウンテンという会社はアメリカ最大級の総合ペット用品メーカーで、住友商事グループが2004年6月に買収しました。犬猫のオヤツ、オモチャ、グルーミング用品の類からトリ、観賞魚のエサまで幅広いレンジの商品をアメリカ全土に販売しています。
創業80年を超える老舗であり、この国の多種多様な人々に最も満遍なく行き渡り愛されてきたブランドです。日本でもいよいよ2008年春から選び抜かれた商品の本格的な販売を開始しました。

この会社とは90年代末に犬猫のノミダニ駆除用の殺虫剤原料を売り込んだところからのお付き合いですが、最初の取引から一桁間違っていると信じて疑わなかったほどの大量注文で、アメリカという国の市場の大きさを痛感させられたのを今でも鮮明に覚えています。実際に中に入って仕事をしてみて、それまでヨーロッパやアジアで経験してきたビジネスとはやはり桁違いのボリュームの大きさに、“これぞアメリカ”と只驚くばかりです。
買収後数ヶ月の頃からこの会社の成長を支え促すことを目的として派遣されて早4年が経ちました。
アメリカ全体の経済環境は必ずしも好調とは言えない時期に差し掛かっており、ハーツマウンテン社もアゲインストの風に晒されております。全員で力をあわせて踏ん張り、知恵を絞って立ち向かっている最中です。