黄金色の実りに囲まれて

レポーター:元ルーマニア駐在員 遠藤

ルーマニアの国土は北緯43度から48度の間に位置し、首都ブカレストは日本の網走、紋別あたりとほぼ同緯度にあります。全農地面積は900万ヘクタールで、日本の倍あります。農業従事者は全就労人口の約30%ですから、ルーマニアは大農業国だといえます。

ルーマニアとブルガリアの国境は欧州を代表する大河ドナウ。そのドナウ川の北側に位置する平野部は、ワラキア大平原と呼ばれる中東欧随一の大穀倉地帯です。その肥沃な土地は、夏場は好天に恵まれ、麦類、トウモロコシ、ヒマワリなどの栽培が古代から現在に至るまで大規模に行われています。夏は燦々と輝く太陽の下、肥沃なワラキア大平原は秋に豊かな穀物の実りをもたらし、カルパチア山系の南側斜面やモルドバ地方の丘陵地帯を覆う広大なブドウ畑は、深い味わいを持つ極上のワインを育んでいます。

私たちの兄弟会社である、住友商事株式会社の事業投資会社、サミット・アグロ・ルーマニア(SAROM)は1997年に設立されました。SAROMは農業用化学品、肥料、種子、その他農業用資材を日本のみならず、米国、西欧諸国から輸入し、ルーマニア国内の問屋、農薬の製剤工場などに販売しております。 作物の病害虫防除には人畜に安全でしかも環境に優しい高機能性の農薬の散布が欠かせません。そして製品の特性を最大限に引き出すためには、製品知識もさることながら、高度な技術普及力が求められます。SAROMでは、農業技術のエキスパートを開発・技術普及・営業の各部署に配置してユーザーへ質の高いきめ細やかなサービスを提供しています。

近年深刻の度合いを増す一方の地球温暖化を防止するため、先進工業国では二酸化炭素の排出量を削減する努力を続けています。EU加盟諸国では化石燃料の使用を削減して、植物体から取れるバイオ・ディーゼルへの転換を具体的に数値目標を設定して進めています。そのバイオ・ディーゼルの原料として最も期待されているのがナタネです。SAROM社はナタネのハイブリッド種子の販売でトップ・シェアーを維持しています。

1989年12月のルーマニア民主革命のあと、市場経済への移行に伴う混乱が10年以上も続きました。私の出向した2000年当時も急激なインフレと現地通貨の下落が止まらず、外貨建ての農薬の輸入は困難を極めました。輸入した商品を国内通貨で問屋に販売した後は、代金の未回収リスクが残ります。そんな辛い時期をルーマニア人社員達と歯を食いしばって一緒に乗り越え、今ではSAROMの業績は磐石なものになりました。
ここに来てようやく海外からの投資が増え始め、ルーマニア経済は回復基調に乗り、帰任する頃には通貨も安定しました。2007年1月1日に国民の悲願だったEUへの加盟も果たし、これからが期待される国です。

SAROMは今年創立10周年を迎えました。
この10年間、我々は優れた機能を持つ製品を通してルーマニアの農業の発展に貢献してきました。
これからも、ルーマニアの食糧増産と豊かな未来の創造に向かって弛まぬ努力をしていきたいと思います。