グローバルレポートGLOBAL REPORT

「イギリス~憧れのその先にある日常~」メインイメージ

イギリス憧れのその先にある日常

「目の前に広がる太平洋を見ながら、いつかは海の向こうの遠いところに行って、この目で見てみたい」~そう夢見て、遠きものへのあこがれがあった学生時代の自分に、いま「イギリス・ロンドンで働いているよ」と伝えたら、まったく信じてもらえないでしょう。
その私はロンドンに駐在し、主にウクライナとその隣国のルーマニアの農業資材販売会社のビジネスに携わって日々刺激的な生活を送っています。

  • 気の合う仲間たちと
    気の合う仲間たちと
  • “ジャガイモの収穫中
    ジャガイモの収穫中
  • ポテチ用ジャガイモ
    ポテチ用ジャガイモ

かつて大英帝国時代に栄華を極めたイギリスの首都ロンドンというと都市生活の象徴のように思われがちですが、少し視野を広げれば、実はビジネスにも直結する“農”の息づかいと多様性とイギリス人の収集癖を強く感じることができる場所でもあります。

ロンドンのスーパーマーケットには世界中から届いた食材が並ぶ一方で、「地元産」の食材もよく目にします。地元産の食材~牛肉、豚肉、鶏肉や卵や都市の近郊で収穫された野菜や果物などが、都市の食卓を支えています。それら地元産食材を支える農村はとても美しく、歴史と文化を感じる場所でもあり、ロンドン郊外にはアグリツーリズムを取り入れた農場もあります。私はロンドンの生活で、農の息遣いを肌で感じています。

  • 多種多様な食材が並ぶマーケット
    多種多様な食材が並ぶマーケット
  • 街のすぐそばに広がる放牧の風景
    街のすぐそばに広がる放牧の風景

そんなロンドンは、驚くほど多様性に満ちた街です。日常で200以上の言語が飛び交い、多様な文化を持った人々が暮らしています。例えば食文化においても、多国籍な雰囲気を肌で感じます。レストランに行くときにも驚くほど選択肢があり、ちょっと例を挙げるだけでも、ジョージア、アルメニア、ウズベキスタン、レバノン、トルコ、インド、パキスタン、スリランカ、タイ、ベトナム、ナイジェリア、エチオピアなど、世界中の食文化を堪能することができます。でもやっぱり一押しは本能を刺激するフィッシュ&チップスとローストビーフで時々無性に食べたくなります。

このように日常生活で食や多様性を感じながら生活していて、気づいたことがあります。
それはイギリス人の収集癖です。私も隕石、アンティークコインや切手などの収集癖がありますが、色々な“モノ”を収集し、これらを適切に保存し、体系立てて展示するという技術は卓越しており、このベースになっているのは、歴史や文化などに対する好奇心と探求心であると感じています。
ロンドンだけで、有名なナショナル・ギャラリー、大英博物館、切手博物館、大英図書館、自然史博物館など多数ありますが、各都市でも素晴らしい収集品を見ることができます。私の休日の楽しみの一つは、イギリス中の美術館と博物館を巡ることで既に60館以上訪問しましたが、様々な分野の時代を超えた収集・展示された“モノ”を見ると、想像と好奇心が掻き立てられると同時に、人類の歴史、文化そして営みへの深い敬意と、現代を生きる自分自身への問いかけを感じざるをえません。

  • 歴史を感じる美しい時計台の姿
    歴史を感じる美しい時計台の姿
  • バッキンガム宮殿への道に掲げられる英国と日本の国旗
    バッキンガム宮殿への道に掲げられる英国と日本の国旗

今、このレポートを書きながら振り返ってみると、学生時代に漠然と持っていた遠きものへの憧れが、自分の中でまだ失われていないことに気づきました。今でもこの憧れがビジネスの動機となっており、実際にその憧れが実現した後にも続きがありました。
日本から遠い国で働きながら生活しているということは、自分のビジネスの専門分野だけでなく、自分の育った日本の歴史や文化を学び続け、色々な国の文化と歴史を肌で感じながら、多様性を受入れつつ、戸惑い、時には刺激を受けながら、まだまだ知らない世界のことを学び、体験できることは自分にとって何よりの報酬です。

世界は、思っていた以上に広く、深くそして面白いです。

  • ウクライナの大地に広がる小麦とひまわり畑① ウクライナの大地に広がる小麦とひまわり畑②
    ウクライナの大地に広がる小麦とひまわり畑